ドミトール Domitor (塩酸メデトミジン, medetomidine)

3-7-2015 updated

  1. 概要: Medetomidine とは
  2. 作用機序
  3. 使用例
  4. fMRI での使用

関連項目

その他の麻酔薬




概要: メデトミジンとは

麻酔薬ではなく,鎮静・鎮痛剤である(4)。ドミトールは商品名であるため,メデトミジンと呼ぶのが好ましい。主成分は塩酸メデトミジン medetomidine chloride (右図)。


以下のような特徴がある。

  • 鎮静・鎮痛効果が非常に高く(2),その作用は容量依存的である(4I)。
  • 体内での半減期が短く,またα2-アドレナリン受容体拮抗剤を投与することで速やかに麻酔から覚ますことができる。
  • そのため動物の短時間の手術などによく使われる。ただし,これだけで麻酔を行うということはなく,他の麻酔の補助薬として用いられることが多い(2; 獣医さんのブログ)。
  • おそらく,脳に対する作用が比較的弱い。Domitor を使ったときの brain activity (measured by BOLD) は,α-chloralose のときよりも高いことから。


副作用としては

  • 徐脈作用 bradycardia。心拍数が低下することで,通常の 1/2 から 1/3 程度なるという記述もある。
  • 投与後は,一時的に高血圧になる(4I)。



実験動物では,吸入麻酔からドミトールにスイッチし,その後ドミトールのみで麻酔というケースもみられるようである。


光学異性体のデクスメデトミジン dexmedetomidine を主成分とする Dexdomitor (Predex, dextor という商品も)ある。ヒトの手術にはこちらが使われる(4I)。

作用機序

α2‐アドレナリン受容体のアゴニストである(4I)。


> 数分のオーダーで速やかに全身に行きわたる。脳 brain にも移行することが確認されている(4I)。

: 単回投与 single bolus 後の plasma half-life は, 60 - 100 分である。

: 肝臓で分解される。

使用例

> Meditomedine, Zoleti 100, Euthatal の組み合わせで最適な投与量を検討した論文(3R)。

: Sprague-Dawley rat を使用。

: 1st phase では,medetomidine と Zoletil 100 の最適な量比を決定している。 

: Medetomidine (35 µg/kg), Zoletil 100 (40 mg/kg)

: Medetomidine (50 µg/kg), Zoletil 100 (20 mg/kg) という組み合わせで SD rat を麻酔。どちらも深い麻酔に至り死亡もみられなかったが,麻酔の長さは異なっていた。


2nd phase

この2つの条件で麻酔をし,Euthatal (pentobarbitone) intra-arteriallly 10 mg/kg/h で様々な生理条件を記録した。

 

> Euthatal は,5 時間以上の安定した麻酔をどちらの条件でも可能にした。

> Medetomidine 35 µg/kg, Zoletil 100 40 mg/kg で前麻酔した方が死亡率が高かった(36% vs 12%)。

> おそらく,呼吸の抑制の程度が違うためと思われる。

> 以上の結果から,Euthatal と併用するときは,Medetomidine 50 µg/kg, Zoletil 100 20 mg/kg が適量と考えられた。


fMRI での使用

Medetomidine だけでは,ラットの麻酔を 3 時間以上維持することができない(4I)。


> 筋弛緩剤である pancuronium bromide との併用例があり,4 時間以上麻酔状態を維持できることがわかっている(4I)。

: 複数の薬品を使うと回復過程や結果の解釈が複雑になるので,medetomidine のみで長もちさせる方法が考案されている。


BOLD signal を低減する作用

ラットで somatosensory evoked potentials (SEPs) を低減することが知られている(4I)。しかし,投与量依存性はないようである ため,徐々に用量を増やしていくのが良いと思われる。


> 100 μg/kg/h, 300 μg/kg/h, 100 μg/kg/h から 300 μg/kg/h に増やす,の 3 パターンを試した論文(4R)。

100 μg/kg/h から 300 μg/kg/h に増やした場合のみ,2.5 - 6 時間の安定した麻酔が可能であった。

: 3, 5, 7, 10 Hz forepaw stimulation で,BOLD response を測定。

100 μg/kg/h infusion, interval, 100 and 150 μg/kg/h では,BOLD response が低下。

100 μg/kg/h infusion, interval, 200 and 300 μg/kg/h では,BOLD response は変わらない。


> 100 μg/kg/h infusion, interval, 300 μg/kg/h では resting state functional connectivity が増える(4R)。

: EEG connectivity も増える。

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References

  1. http://www.zenoaq.jp/product/pd14111.html
  2. どうぶつ病院診療日記 ドミトールという薬. Link/広告付きリンク.
  3. Ferrari et al. 2005a. Evaluation of two combinations of Domitor, Zoletil 100, and Euthatal to obtain long-term nonrecovery anesthesia in Sprague-Dawley rats. Comp Med 55, 256-264.
  4. Pawela et al. 2009a. A protocol for use of medetomidine anesthesia in rats for extended studies using task-induced BOLD contrast and resting-state functional connectivity. NeuroImage 46, 1137-1147.


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