PKA, protein kinase A, プロテインキナーゼA

7-19-2016 updated

  1. 概要: PKA とは
  2. 糖代謝と PKA
  3. 脂質代謝と PKA

関連項目



概要: PKA とは

PKA は 10 nM 程度の cAMP によって活性化されるリン酸化酵素である(1)。

活性化機構

下の図(英語版 Wikipedia より)の A は活性化機構の概要を示している。Berg の生化学(1)に載っている図と似ているが,やや簡略化されている。以下の説明は,文献 1 に準拠している。

 

  1. 筋肉では,PKA は 49 kDa の調節サブユニット(R)と,38 kDa の触媒サブユニット(C)から成る。
  2. cAMP 濃度が低いとき,これらは 2 分子ずつの複合体として存在している。調節サブユニットは,触媒サブユニットが認識する基質配列に似た pseudosubstrate sequence をもっており,ここで結合している。したがって,活性はよくブロックされる。なお,正確には結合は CR-RC のような感じで調節サブユニット同士の結合によって 4 量体が作られている。 
  3. 調節サブユニットに cAMP が 2 分子ずつ結合すると,触媒サブユニットから解離する。生じる 2 分子のフリーな触媒サブユニットが酵素活性を示す。

 

Pseudosubstrate sequence の配列は Arg-Arg-Gly-Ala-Ile であり,基質の認識配列は Arg-Arg-X-Ser-Z or Arg-Arg-X-Thr-Z である(1)。ただし,X は小さいアミノ酸残基,Z は大きな疎水性残基である。Arg の一方は Lys に変わっても良いが,親和性が低下する。

 

これは,酵素活性を示す部位以外の場所にある物質が結合することで,酵素の活性を調節するというアロステリック阻害 allosteric inhibition の例として有名である。

 

 

> PKA の 40 - 280 AA は conserved catalytic core を形成している(1)。

: 原則として全ての kinase で保存されている構造である。

糖代謝と PKA

脳 brain

In vitro の実験からはPKA の活性化はグルコース消費を促進すると考えられてきた(3I)。しかし,脳 brain では,以下のように逆の結果も報告されている。しかし,下記の 2 つの論文では cAMP が PKA にのみ作用しているという保証はない。

 

> db-cAMP 25 nmol を SD rat 脳の striatum に注入すると,2DG-Glc の取り込みが低下する(3R)。

: Dibutylyl cAMP (db-cAMP) は,膜を通過する cAMP analog である。

 

> PKA 阻害剤 Rp-cAMPS 100 nmol を 脳の striatum に注入すると,グルコース代謝が増大(2R,3R)。

: 自由に運動している Sprague-Daxwley rat で測定している。

: 麻酔中のラットでは Rp-cAMPs の影響が見られないことから,意識との関係を議論している。

: 意識の程度は麻酔の種類で大きく異なるため,さらなる検討が必要。

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References

  1. Berg ed. 2006a (Book). Biochemistry, chapter 16. W.H. Freeman and Company, NY. 
  2. Hosoi et al. 2005a. MicroPET detection of enhanced 18F-FDG utilization by PKA inhibitor in awake rat brain. Brain Res 1039, 199-202.
  3. Hosoi et al. 2001a. The role of the cAMP-PKA system in the short-term regulation of 14 striatal [14C]-2-deoxyglucose uptake in freely moving rats. Brain Res 921, 260-263.