レプチン受容体, Leptin receptor

6-29-2016 updated

  1. 概要: レプチン受容体とは
  2. 構造およびアイソフォーム
  3. 発現部位
  4. 多型と肥満
  5. 下流シグナル


概要: レプチン受容体とは

食欲 appetite,代謝 metabolism などを制御するホルモンであるレプチン leptin は,細胞膜上にあるレプチン受容体 leptin receptor への結合を通じてその作用を発揮する。

 

1 回膜貫通型 の受容体で,class I cytokine receptor である glycoprotein 130 (gp 130) に似る(3I)ため,gp 130 family の受容体として分類されている。

 

5 つのアイソフォーム a, b, c, d, e が存在することが報告されている(5)。

 

> 肥満モデル Zucker rat では,806 番目の A が C に変異しており,Gln269Pro の置換をもたらしている(3R)。

構造およびアイソフォーム

ヒト Human

ヒトのレプチン受容体遺伝子 LEPR は,染色体 1p31 に座乗する(1I)。20 のエクソンから成る。選択的スプライシングにより,少なくとも 6 個の mRNA がある(6)。

 

1, 2 番目のエクソンを共有する leptin receptor overlapping transcript (LEPROT) および leptin receptor overlapping transcript-like protein 1 (LEPORTL1) があり,染色体上でタンデムに並んでいる。これらは両生類,鳥類,魚類にも存在し,原則として染色体上に並んで位置している。Leptin receptor gene-related protein (LERGRP) と呼ばれたこともあるが,同じ遺伝子である。成長ホルモン growth hormone やレプチン受容体の細胞膜局在を制御し,これらのホルモンへの感受性をコントロールすると考えられている(9D)。

 

 

ラット Rat

> 894 残基の short form と 1162 残基の long form がある(3R)。C 末端側が異なる。選択的スプライシング。

: 細胞内には,JAK-STAT 系にシグナルを伝える Box 1 および Box 2 があるが,short は Box 1 のみ。

 

> さらに,膜貫通ドメインをもたない 805 残基の Ob-Re もある(3R)。

 

マウス Mouse

マウスにも LEPROT 遺伝子が存在する。

 

> Knockdown するとレプチンシグナルが増強され,肥満を抑制する(8)。

発現部位

ヒト Human

視床下部 hypothalamus で mRNA 量が多く,pituitary, lung, gonad, liver でも発現がみられる(7)。

ラット Rat

Long isoform (RT-PCR)(3R):

> 脂肪組織,肺,脳(視床下部,大脳皮質,小脳),小腸,腎臓,精巣,脾臓。

> 胃と肝臓では少ない。心臓ではバンドが見えない。

 

Short isoform (RT-PCR)(3R):

> 脂肪組織,肺,脳(視床下部,大脳皮質,小脳),小腸,腎臓,精巣,脾臓。

> 胃,肝臓,心臓でも long isoform よりも発現が多そう。

 

OB-Re (without transmembrane domain) (RT-PCR)(3R):

> Long isoform とほぼ同じパターン。

多型と肥満

相関解析 Association study

これまでに,Q223R, K109R, K656N の三つの非同義置換と肥満 obesity との関係が調べられている(2I)。個々の解析では相関があるとする報告もあるが,2002, 2005および2011年に発表された meta-analysis では相関が証明されなかった(2R, 2D)。 

 

これらのことから,LEPR の変異は単独でヒトの肥満の原因となるには不十分で,肥満は他の要因との複合的作用であろうと考えられている(1D)。

 

> 2011年に発表された meta-analysis では相関なし(2R)。

: 2002年および2005年の systemic review でも,有意な相関はなかった。

: ただし,BMI cut-off > 25 としている報告ではQ223R と BMI の相関があった。意義は不明。

: なお民族との相関はあり,とくにアジア人で Q223R, K109R の置換が多い。台湾の原住民は例外。

> 40歳以上の女性において,K109RおよびQ223Rを同時にもつ場合にBMIが高いとした報告がある(4)。

: 40歳以上の男性,40歳未満の女性では差がなく,40歳未満の男性は対象に含まれていない。

: この2つの多型は,日本人で報告されている多型のうち比較的変異が多いものである。

Q223R の変異の影響

> Leptin との結合性が低下し,レプチン抵抗性を引き起こす(1I)。

> Q223Rとコレステロールおよびトリアシルグリセロール代謝異常との関連が多く報告されている。

: 家族性 hyperlipidemia(高コレステロール,TAG,apoB)との相関がある(1I)。

: 肥満との相関はないが,肥満したヒトの試験群の中で高血中TAGと相関していた(1R)。

: 痩せたヒトの試験群でも,RRの遺伝子型は高コレステロールと相関していた(1R)。

下流シグナル

> レプチン受容体b は Janus kinase シグナルを活性化する(5)。

: この受容体は視床下部 hypothalamus で主に発現している。

: 視床下部で活性化すると alpha-melanocyte-stimulating hormone が分泌される。

: このホルモンは type 4 melanocortin receptor を活性化し,食欲を減衰させエネルギー消費を増やす。

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References

  1. Becer et al. 2013a. Association of leptin receptor gene Q223R polymorphism on lipid profiles in comparison study between obese and non-obese subjects. Gene 529, 16-20.
  2. Bender et al. 2011a. Association between variants of leptin receptor gene (LEPR) and overweight: a systematic review and an analysis of the CoLaus study. PLoS One 6, e26157.
  3. Takaya et al. 1996a. Molecular cloning of rat leptin receptor isoform complementary DNAs - identification of a missense mutation in Zucker fatty (fa/fa) rats. BBRC 225, 75-83, 1996.
  4. 近藤ら 2012b. レプチン受容体遺伝子多型Lys109Arg 及び Gln223Arg と肥満の関連. 名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報, 5, 33-38.
  5. Adamczak & Wiecek. 2013a (Review). The adipose tissue as an endocrine organ. Semin Nephrol 33, 2-13.
  6. Zabeau et al. 2003a (Review). The ins and outs of leptin receptor activation. FEBS Lett 546, 45-50.
  7. Bergen et al. 2002a. Identification of leptin receptors in lung and isolated fetal type II cells. Am J Respir Cell Mol Biol 27, 71-77.
  8. Couturier et al. 2007a. Silencing of OB-RGRP in mouse hypothalamic arcuate nucleus increases leptin receptor signaling and prevents diet-induced obesity. PNAS 104, 19476-19481.
  9. Wu et al. 2013a. Increased Expression of Fibroblast Growth Factor 21 (FGF21) during Chronic Undernutrition Causes Growth Hormone Insensitivity in Chondrocytes by Inducing Leptin Receptor Overlapping Transcript (LEPROT) and Leptin Receptor Overlapping Transcript-like 1 (LEPROTL1) Expression. J Biol Chem 288, 27375-27383.