ATP, アデノシン三リン酸 adenosine triphosphate

9-1-2017 Last update

 

このページは ATP @本家UBサイト に恒久的に移転しました。このページもネット上に残っていますが,最新の情報はリンク先を参照して下さい。

 


  1. 概要: ATP とは
    • なぜ ATP は高エネルギーなのか?
  2. ATP の合成
  3. ATP とタンパク質のリン酸化

 

 

核酸関連項目

 

 

ミトコンドリア関連項目

 

関連タンパク質

  • AMP-dependent kinase (AMPK)

概要: ATP とは

ATP (アデノシン三リン酸, adenosine triphosphate, 右図, ref 2) は,生体のエネルギー通貨として使われる物質である。

 

リン酸基が 2 個および 1 個になったものを ADP および AMP という。


核酸 nucleic acid のページにあるように

 

ヌクレオシド nucleoside = ペントース + 塩基

ヌクレオチド nucleotide = ペントース + 塩基 + 1 個以上のリン酸

核酸 = ポリヌクレオチド

 

であるので,ATP はヌクレオチドにあたる。構成要素はリボース ribose,塩基のアデノシン adenosine および triphosphate unit である。

 

> ATP は,細胞内では Mg2+ や Mn2+  と結合しており,これが active form である(1)。

 

> アデニンでなく,他の塩基が結合したヌクレオチドも使われることがある(1)。

: GTP-GDP-GMP, UTP-UDP-UMP, CTP-CDP-CMP など。

: Diphosphate をリン酸化する酵素を nucleotide diphosphate kinase という。NDP + Pi -> NTP。

: リン酸基が外れるときに得られる自由エネルギーは他のものでも同じだが,ATP が最も使われる。

 

> 補酵素である NAD+ や FAD は ATP の誘導体である(1)。

 

なぜ ATP は高エネルギーなのか?

ATP のもつ自由エネルギー free energy が,その加水分解産物である ADP + Pi よりもかなり大きいためである(1)。

 

たとえば,グリセロール-3-リン酸がグリセロール glycerol と Pi に分解される時に放出されるエネルギーは 9.2 kJ/mol であるが,ATP が ADP と Pi になるときには 30.5 kJ/mol のエネルギーが放出される(1)。 これは,要は ATP よりも ADP, Pi がかなり安定なためである。その理由は以下の 3 つ。

 

  1. ADP と Pi は共鳴構造をとって安定化する。つまりエネルギー準位が構造から予測されるよりも低くなっている。
  2. ATP は 3 つ並んだリン酸基同士で電気的な反発がある。これが末端のリン酸基の解離に伴って解き放たれる。縮んでいるバネのようなイメージ。
  3. ATP, ADP, Pi とも水和により安定化するが,構造的に ATP がもっとも水和されにくい。

 

ところで,ATP よりもリン酸基の解離に伴う自由エネルギーが大きい = phosphoryl group を手放しやすい物質が生体内に存在する(1)。このような物質は,逆に ADP から ATP を合成することができる。以下の表にまとめる。

 

分子

説明 エネルギー

ホスホエノールピルビン酸

Phosphoenolpyruvate

PEP

解糖系 glycolysis はグルコースをピルビン酸に変換する過程で 2 分子の ATP を生み出す。その反応が,PEP および下の 1,3-BPG から ADP へのリン酸基の転移である。これは,両分子が ATP よりもエネルギー準位が高いために起こる反応である。

-61.9 kJ/mol (3)

 

1,3-ビスホスホグリセリン酸

1,3-Biphosphoglycerate

1,3-BPG

PEP と同じく,解糖系の中間体である。

 

つまり「解糖系は 2 分子の ATP を生み出す」は,「解糖系は ATP よりも高エネルギーな中間体を 2 つ含む」と同じことを言っている。

-49.3 kJ/mol (3)

クレアチンリン酸

Creatine phosphate

クレアチン creatine がリン酸化されたクレアチンリン酸は高エネルギー分子。

 

筋肉や脳 brain における ATP 再生のメカニズムである。

-43.1 kJ/mol (3)

カルバモイルリン酸

Carbamoyl phosphate 

尿素回路の中間体。 -51.4 kJ/mol (3)

ATP とタンパク質のリン酸化

ATP は細胞のエネルギー通貨である以外に,タンパク質 protein がリン酸化修飾 phosphorylation される際にリン酸基を供与するという役割もある。これによって,細胞のエネルギー状態と代謝調節がリンクされている。

 

ここでは,リン酸化,リン酸化酵素 kinase,脱リン酸化酵素 phosphatase についてまとめる(1)。適切なページを作ったら,適宜内容を移動する。

  • Kinase は ATP の末端のリン酸基を基質につけかえる。Phosphatase はリン酸基を外すが,それは ADP に戻るわけではなく,遊離の無機リン酸 Pi, orthophosphate になる。
  • タンパク質に付加されたリン酸基は,2 価の negative charge を与える。これは構造変化の原因となる。
  • リン酸化されるのは,一般に細胞内のタンパク質である。ATP や kinase が細胞内にあるため。細胞外タンパク質は proteolytic cleavage などによって活性を制御されている。
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References

  1. Berg et al. Biochemistry
  2. By NEUROtiker - Own work, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2194476