Y-迷路試験 Y-maze test

4-27-2015 updated

  1. 方法
    • 自発行動
    • 空間作業記憶
    • 論文での測定項目
  2. 空間認識能力のテスト Two-trial Y-maze task
  3. 関係する脳領域

関連項目



方法

Y-maze test は,同じ大きさの3本のアーム(仮にA, B, C とする)が 120˚ で連結された装置を使って行う行動試験である。げっ歯類の例がほとんどであるが,ゼブラフィッシュでの使用例も報告されている。

文献 4 の図の一部。


  1. アーム A にマウスを置き,自由に 8 分間移動させる。
  2. マウスは,新しい場所に置かれると探検する行動 exploratory behavior を示すため,放っておいても各アームへ進入する。それぞれのアームに進入した回数を記録する。
  3. 後足がアームに入ったら進入したと判断する。前足だけではダメ。
  4. マウスの移動パターンが A, B, C, A, B, C であったとして,ここから自発行動 spontaneous locomotor activity と空間作業記憶 spatial working memory を判断することができる。
  5. 同じアームに何回も進入するようだと,自分の探検行動を記憶していない,すなわち spatial working memory の能力が低いと判断する。

 

自発行動 Spontaneous locomotor activity

自発行動 spontaneous locomotor activity は,アームへの総進入回数から求めることができる。上記の例だと 5 である。最初の A は,マウスを人為的に置いたときの A なので,進入回数には含めない。

 

> Spontaneous locomotor activity は,統合失調症 schizhphrenia の陽性症状の指標である。

: 一般に陽性症状は幻覚,幻聴などを指すが,動物モデルではこれらが生じているかわからない。

: そこで,spontaneous locomotor activity を用いて評価するのが一般的である。

: 統合失調症の動物ではこれが増大し,「落ち着きのない行動」と判断される。

 

空間作業記憶 Spatial working memory


3 回連続して異なるアームへ進入した回数をアームへの総進入回数から 1 を引いた値で除した後,100 を乗することで,空間作業記憶 spatial working memory の指標となる値求めることができる(1)。この値を交替反応 alternation という。

 

上記の例だと,A -> B -> C -> A -> B -> のように,赤字で示した部分を数えて3回ということになる。したがって

 

Alterations (%) = 3/(5-1) * 100 = 75%

 

マウスは,餌を探すために基本的に異なるアームに入ろうとする。つまり,この値が高いほど,前に入ったアームがどこだったかを覚えている,すなわち短期記憶力が優れていることになる。

 

 

論文での測定項目

  • Time spent in each arm (2,3).
  • Time spent in central zone (3).
  • Locomotor activity (cm) (3).
  • Percentage of alteration (2).
  • Spontaneous alteration (number of arm entries) (2).

Visual cue との組み合わせ: 空間認識能力のテスト

一定のインターバルをおいてテストをすることで,空間認識能力 spatial recognition を調べることができる。以下は,Hazane et al (ref. 2) の説明である。Dellu et al. (1997), Lena et al (1999) などを参考にしている。

 

  1. 多くの visual cue が用意されているY迷路を使い,2時間のインターバルで実施する。
  2. 最初のトライアル(aquisition phase)では,1つのアームが閉じられており,ラットは残り2つのアーム内を3分間自由に歩く。ラットを最初に入れる introduction arm はランダムに決定されるが,同じ個体では次のトライアルでも同じアームを用いる。
  3. 2時間後のトライアル(retrieval phase)では,ラットは3つのアーム内を自由に3分間行き来し,それぞれのアーム内にいる時間を測定する。
  4. 野生型のラットは,retrieval phase において,最初に閉じられていたアーム内で多くの時間を過ごす。
  5. 2 時間前の状況を覚えているかどうか,トータルの移動距離,新しいアームに入る exploration of novelty などが結果に影響することになる。

報酬との組み合わせ

右の図は,文献 4 で行われた Y-maze test の結果を示した図である。




論文の legend は以下。

Figure 1. Dopamine depletion modifies the encoding of decision process and reward location in CA3 (adapted form Retailleau et al., 2013). (A) In a baited Y-maze, the rat has to choose one of the arms where the reward is located. Rat with a 6-OHDA lesion in the right medial forebrain bundle had difficulties to find the reward when it is in the right arm as it is shown by its low ratio of good choice (i.e., the baited arm)/the number of exploration. We correlated the behavior in the maze with population responses in the right CA3 (A, right). The time spent by the animal in the decision zone (B) is correlated with the population firing rate of CA3 neurons of Sham, but not 6-OHDA rats (C). The ratio of good choice/total number of exploration is correlated with the population firing rate of CA3 neurons of Sham, but not 6-OHDA rats (E) when the animal is in the reward location (D).


References

  1. Y-迷路試験(pdfファイル) http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/biochem/labo/Y_meiji.pdf
  2. Hazane et al. 2009a. Behavioral perturbations after prenatal neurogenesis disturbance in female rat. Neurotox Res 15, 311-320.

  3. Le Pen et al. 2006a. Peri-pubertal maturation after developmental disturbance: a model for phychosis onset in the rat. Neuroscience 143, 395-405.
  4. Retailleau and Boraud 2014a. The Michelin red guide of the brain: role of dopamine in goal-oriented navigation. Front Syst Neutosci 18.