NAD/NADH (nicotinamide adenine dinucleotide)

8-24-2017 Last update

 

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  1. 概要: NAD とは
    • 構造
  2. 解糖系による NADH 合成
  3. TCA 回路による NADH 合成

関連項目

 

NADH, NAD を補酵素として使う酵素

  • 乳酸デヒドロゲナーゼ: LDH
  • アルコールデヒドロゲナーゼ: ADH

 



概要: NAD とは

ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド NAD(窒素原子が正電荷をもっているため NAD+ とも表記されるが,両者は同じものである)は,多くの酸化還元反応に関わる補酵素の一種である(4)。

 

下の図(3)のように,窒素環の部分で 1 個の水素原子と 2 個の e- を受け取る ことができる。したがって,水素原子をある分子から引き抜くような反応で補酵素となる。格言集 にある通り 「水素原子を受け取ったら還元」なので,これは「ある分子の酸化反応」であり,この反応を通じて NAD+ は NADH に還元されることになる。NAD+ は酸化型,NADH は還元型と呼ばれる。 

 

  • 動物は,炭素原子 C を含む食事を酸化してエネルギーを得る。
  • 言い換えれば,「酸素が還元される」→「食べ物のもつ e- が酸素に渡される」ということ。
  • 直接渡すと,これは「燃焼」である。反応が激しすぎる。
  • したがって,動物は多くの段階を経てゆっくりと e- を酸素に渡している。
  • この e- の運搬を仲介するものの一つが  NAD+ である。

 

NAD+ の関わる基本的反応は,

 

R-CH(OH)-R + NAD+ -> R-(C=O)-R + NADH + H+

 

である。2 つのプロトンが基質から失われ,一つは NAD+ に移行して NADH となる。この際,2 個の電子も NADH に移る。1 つのプロトンは H+ として周辺に放出される(5)。

 

構造

R の部分の構造を示すと,右の図(2)のようになる。

 

 

下のニコチンアミドに,2 つの核酸(ヌクレオチド)が結合した構造をもつ。


解糖系による NADH 合成

> 解糖系では,1 分子のグルコースから 2 分子の NADH が生じる。

> ピルビン酸を乳酸にする反応は,ピルビン酸 1 分子あたり 1 分子の NADH を消費する。

: グルコースからは 2 分子のピルビン酸が生じるので,これはグルコース 1 分子あたり 2 分子に相当。

: つまり,グルコースが全て乳酸になるような理想的な嫌気条件下では,NADH は生じないことになる。

解糖系で NADH が生じる反応は,「6. GAPのリン酸化」である。

 

解糖の過程でグルコースはアルドラーゼの作用でグリセルアルデヒド-3-リン酸(GAP)およびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)2 つに開裂し,DHAP は GAP に異性化される。つまり,1 分子のグルコースから 2 分子の GAP が生じる。NADH は,GAP によって NAD が還元されることで生じるため,1 分子のグルコースから 2 分子作られることになる。

TCA 回路による NADH 合成

 

TCA 回路 では,1 分子のアセチル CoA で 3 分子の NAD+ が NADH に還元される。詳細は TCA 回路のページを参照のこと。

 

NADH は呼吸鎖 respiratory chain に輸送され,水素原子は最終的に NADH から酸素に受け渡されて ATP と水を生じる。NAD+ は TCA 回路で再利用される。

神経活動による細胞内 NADH 量の変化

> 刺激後に神経で NADH が急減し,その直後に astrocyte で急増する。後者は嫌気的解糖による(1R)。

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References

  1. Kasischke et al. 2004a. Neural activity triggers neuronal oxidative metabolism followed by astrocytic glycolysis. Science 305, 99-103.
  2. "NAD+ phys" by NEUROtiker - 投稿者自身による作品. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
  3. "NAD- to NADH". Licensed under GFDL via Wikipedia.
  4. 岩波理化学辞典 第 4 版.