ヘマトキシリン・エオジン染色,H&E staining

7-15-2017 Last update

 

このページは HE 染色 @本家UBサイト に恒久的に移転しました。このページもネット上に残っていますが,最新の情報はリンク先を参照して下さい。

 


  1. 概要: HE 染色とは
  2. 染色例
  3. トラブルシューティング

関連項目



概要: HE 染色とは

ヘマトキシリン・エオシン染色(HE 染色)は,基本的な組織染色法の一つで,光学顕微鏡レベルで組織の全体像を把握することを目的とする(1)。 ヘマトキシリン,エオシンという 2 種類の染色液を使う。 なお英語での発音は hematoxylin [hiːməˈtɒksɪlɪn], eosin [íːəsin] である。イギリス英語では haematoxylin, eosin と綴る。


Hematoxylin

ヘマトキシリン(右図上, 2)は負に荷電した色素で,それ自体は染色性をもたない

 

酸化されて生じた ヘマテイン hematein(右図下, 3)が媒染剤の金属部分と錯体を形成して正に荷電する。その結果,負に荷電している DNA やリボソームが染色されることになる。色は青藍色から淡青色である。

 

なお,実際に荷電しているのはヘマテイン-金属錯体の金属部分である。この錯体を生じさせるために,HE 染色液はカリウムミョウバンや硫酸アルミニウムを含んでいる(1)。 


Hematein-Al3+ 錯体が実際の染色効果を発揮していることが示唆されているが,錯体の構造は実はまだ分かっていないようである。

 

核,石灰部,軟骨組織,細菌,粘液などがよく染色される。

 


Eosin

エオシン eosin は,蛍光色素 フルオレセイン fluorescein に臭素 Br が結合した構造をもつ色素である。 Eosin Y (右図上,4)と Eosin B (右図下,5)の 2 種がよく用いられている。

 

ヘマトキシリンとは異なり,負に荷電している(1)。そのため,正電荷をもつ細胞質,間質,各種繊維,赤血球,角化細胞などが染色される。色は赤~濃赤色である。

 

pH が低下すると,過剰なプロトンのために組織はより強く正に荷電し,エオシンの負電荷と強く結合するようになる。溶液に少量の酢酸を加えて染色性を上げることができるが,pH を下げすぎると沈殿を生じ,染色性は低下する(1)。

 



染色例

ヒト乳がん組織の HE 染色(6)。



コメント: 0

References

  1. Wako HE 染色試薬マニュアル. Pdf link.
  2. "Hämatoxylin" by NEUROtiker (talk) - Own work. Licensed under Public Domain via Wikimedia Commons.
  3. "Haematein". Licensed under Public Domain via Wikimedia Commons.
  4. "Eosin Y". Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
  5. "Eosin B". Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
  6. Veta et al. 2013a. Automatic nuclei segmentation in H&E stained breast cancer histopathology images. PLoS ONE 8, e70221.