50%阻害の考え方(EC50, IC50, LC50などの違いについて)

2-8-2017 updated

  1. 概要: 50% 阻害(効果)という考え方
  2. EC50
  3. IC50
  4. LC50, LD50



概要: 50% 阻害(効果)という考え方

 

EC50, IC50, LC50 はいずれも濃度や量を表す概念で,意味するところは似ているが,以下のような違いがある。なお,これらは本来 50 を下付きにして EC50 のように書くのが正しいようである。

 


EC50

EC50 は 50%効果濃度 half maximal Effective Concentration の略で,薬などの作用が最大値の半分の効果を示すときの濃度 である。日本語では 50% 効果濃度または半数効果濃度と呼ばれる。観察する現象の種類によって,いくつかのパターンを考えることができる。

 

効果が連続的な値として得られる場合

ある薬を投与することで,血圧が 150 から 100 まで下がる場合を考える。このとき,薬の作用の最大値は 50 の血圧低下なので,血圧が 125 になるときの薬の投与量が EC50 ということになる。

 

効果が出るか出ないかで判断できる場合

ある薬を投与することで,病気がすっかり治る場合を考える。このとき,薬の効果は治る/治らないのいずれかで評価できる。10 人中 5 人が治るなど,投与した人数の半分に効果が出る投与量が EC50 である。


IC50

IC50 は half maximal Inhibitory Concentration であり、投与する薬剤が何かを阻害 inhibit するときに、50% の効果を示す濃度 や投与量である。

 

右の図(1)は,乳酸 lactate が神経 neuron の活動(発火 firing)を抑制することを示した実験の結果で,IC50 とともに最もよく出てくるタイプの図である。

 

この図では,縦軸の値(発火頻度)が 50% になる乳酸の濃度,約 4.2 mM が IC50 である(横軸は log なので注意)。



LC50

LC50 は half maximal Lethal Concentration であり、薬などの作用で対象が死ぬときに、投与した動物の 半数が死亡する濃度 である。毒性検査でよく用いられる表現であるが、死亡が薬の効果であると考えれば、本質的には EC50 と同じである。

 

投与する毒物の量が,濃度でなく量で表される場合は,Lethal Dose を意味する LD50 が用いられる。


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References

  1. Bozzo et al. 2013a. Lactate modulates the activity of primary cortical neurons through a receptor-mediated pathway. PLoS ONE 8, e71721.