安息香酸, Benzoic acid

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2018/04/25 Last update

 

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  1. 概要: 安息香酸とは
  2. 安息香酸の定量法

関連項目




概要: 安息香酸とは

安息香酸 benzoic acid は,右のようにベンゼン環にカルボキシ基 -COOH がついた構造をもつ化合物である。

 

温水に可溶で,溶解度は 0.34 g/100ml (25℃) (Wiki)。

 

PubChem では,"A fungistatic compound that is widely used as a food preservative. It is conjugated to GLYCINE in the liver and excreted as hippuric acid (2)." と書かれている。

 

静真菌性,すなわち真菌の増殖を抑制する作用があり,食品添加物としてよく使われている。肝臓でグリシン Gly と結合し,馬尿酸 hippuric acid として排出される。



安息香酸の定量法 Quantification method

抽出 extraction

安息香酸は保存料として利用される食品添加物で,公定法では水蒸気蒸留で抽出し,HPLC で定量することになっている。平成 22 年に分析法が改正された(3)。

 

> 新旧公定法の比較検討を行った論文(3R)。

: 試料 5 g から,NaCl 60 g, 水 100 mL, 15% 酒石酸溶液 10 mL などを用いて水蒸気蒸留。

: その後 HPLC で定量している。HPLC 条件は次の項目に書いておく。

 

HPLC (ODS column)

> 山上ら 2010a での分析条件などは以下のとおり(3)。

: 水100 mLで水蒸気蒸留。0.1, 1, 2, 5, 10 ug/mL で検量線。20 uLを注入。

: 移動相は水系で,メタノール: 水: 0.2 M リン酸バッファ = 36:59:5.

: TSKgel ODS カラム(東ソー),流速 1 mL/min, カラム温度 40℃,検出 230 nm。

: ソルビン酸は7.9 min, 安息香酸は5.9 minにピークが見られた。

: 検量用標準液の最低濃度 0.1 µg/mL を測定した時の標準偏差の3倍を検出限界とした。

: このとき,ソルビン酸は 0.006 µg/mL, 安息香酸は0.005 µg/mLであった。

: 100 mLの水蒸気蒸留を6回繰り返し,それぞれで定量すると回収率を求めることができる。

: 食品によって回収率が異なる。するめいかでは回収率が低いなど。

 

 

> SUMIPAX ODS カラムのカタログでは,安息香酸とヒドロキシ安息香酸の溶出時間は以下の通り(1)。

: 移動相アセニト:水:酢酸(5:90:5), 流速 1 mL/min, 37℃, 検出 285 nm, injection 1 µg。

Benzoic acid 安息香酸

: 27.805 min by SUMIPAX ODS A-217 column (5 µm).

: 31.346 min by SUMIPAX ODS C-217 (5 µm).

: 33.275 min by SUMIPAX ODS D-210SLP (3 µm).

 

p-hydroxy benzoic acid p-ヒドロキシ安息香酸

: 6.201 min by SUMIPAX ODS A-217 column (5 µm).

: 6.445 min by SUMIPAX ODS C-217 (5 µm).

: 7.670 min by SUMIPAX ODS D-210SLP (3 µm).


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References

  1. https://www.scas.co.jp/service/apparatus/pdf/P38.pdf
  2. PubChem. Web.
  3. 山上ほか 2010a. 高速液体クロマトグラフィーによる食品中のソルビン酸,安息香酸分析法について. 山梨衛環研年報, 54, 48-51.